
歌ってみたや楽曲制作のミックスのやり方がイマイチ分からない。
特にイコライザーの使い方を詳しく、根本的な概念から知りたいなあ。
上記のような人向けの記事です。
本記事の内容
・イコライザーの概念とイコライザーの本質的な使い方
・初心者がやってしまうNGなイコライザーの使い方
・ミックス初心者におすすめなイコライザーの具体的・実践的な使い方
・ミックス初心者にもおすすめのイコライザー
本記事の信頼性
音楽経験0からプロ作曲家になった161Pが解説しています!
音楽歴は10年以上です。普段は企業様に楽曲提供を行っており、最近はボカロ曲なども個人的に発表しています。
いろんな記事を見ていると以下のような情報をよく見ます。
・ボーカルをよく聴かせたいなら中高域をブーストすると良い
・こもっている場合は低域の100Hzから500Hzをカットすると良い
上記の情報は半分本当ですが、半分はウソ・・・とまでは言いませんが、初心者が鵜呑みにするのは実はかなり危険です。
なぜなら、イコライザーには確実に上手くいくような設定値などないからです。
本来イコライザーは楽曲全体のバランスを見ながら、トラック1つ1つにかけていく必要があります。
なので、いろんな記事や教則本に書かれている設定値をそのまま鵜呑みにするのは間違いです。
あくまでサンプル例に対する設定値であり、しかもエンジニアがどういう音作りを狙いとしているかで変わります。
つまり、全く同じ音源でも、エンジニアがどういう音作りにしたいかどうかで設定値は全く異なってくるのです。
上記の本質を理解していないと、かなりトンチンカンな設定にしてしまいますし、一向に上手くならないので注意が必要です。
そこで、本記事ではイコライザーを初心者でもうまく使いこなせるように、イコライザーの本質的な使い方をプロがシェアしていきます。
なお、本記事の内容は動画でも解説しているので、ぜひこちらも合わせて参考にしてみてください。
長くなりました、内容を深掘りしていきます。
目次
ボーカルや楽曲制作におけるイコライザーってそもそもどういうエフェクトなのか
さっそくですが、ここであなたに質問です。
歌ってみたや楽曲制作などでミックスをするときに使うイコライザー。ところでこのイコライザーって何をするエフェクトでしょうか?
いろんな解釈の仕方がありますが、簡単にいうと周波数を帯域ボリュームを上げたり下げたりすること。
当たり前ですよね。「そんなの知ってるよ!」と思った人がほとんどでしょう。
では続けて質問です。この「周波数をいじる」というのものが具体的に何をしているものなのか、ちゃんとイメージできていますか?
あるいは人にわかりやすく説明できるくらい言語化できますか?
「できてるよ!」っていう人、素晴らしいです。もうこの記事は読まなくてもいいかもしれません。
その一方で、「いまいちピンと来ないな!」って思った人、残念ながらイコライザーの本質や使い方を「なんとなくわかったつもり」になっています。
でもこれから説明するので大丈夫です。安心してください。
本質1:イコライザーは周波数の帯域ボリュームを、倍音も含めいじるエフェクト
イコライザーは周波数の帯域ボリュームを、倍音も含めいじるエフェクトです。これが本質です。
倍音というのは、ある一つの音に含まれている、基本とは別の音のことです。
例えばピアノで「ド」を弾いた時、一見「ド」の音だけがなっているように聞こえますが実は「ラ」とかの別の音もなっているんですよね。
※動画参照
つまりブーストするっていうことは、基礎となる音だけでなく、実は倍音という音までブーストすることになります。
これが初心者が教則本や解説記事に書かれている設定値をそのまま設定しても上手くいかない理由なんですよね。
楽曲や音源によって倍音が異なっているわけですから、同じ値を設定するのはやっぱりトンチンカンなわけです。
本質2:ブーストさせるということは相対的にそれ以外のボリュームを下げている
ある帯域をブーストさせるということは相対的に言えば、そうじゃないところはボリュームが下がっているんですね。
※動画参照
まあだからなんだ!と言われればそれまでなんですけど、これをしっかり理解した上でEQで使わないといけないです。
ここで勘違いしてはいけないのがブーストするのが悪い!ということではないです。実際にブーストもすることもあります。
でも、ミキシングをするときって、他の楽器とのバランスを考えないといけないんですね。
だから、例えばボリュームをあげれば解決できた問題を、EQのブースト処理で解決してしまうと、楽曲全体で見た時に、同じ帯域が飽和してしまったりするんですよ。
だからミキシングっていうのは木を見るのだけでなく森を見るのも大事なんですよね。
音っていうのは奥深くて、ドレミファソラシドのドを弾いた時って、実はドだけではなく他の音も鳴っているんですね。
まあこれを倍音なんて言ったりするんですけど、倍音ブーストしたりカットしたりっていうことをしているわけでなので、下手にいじらない方がいいです。
ミックス初心者がやりがちな間違ったイコライザーの使い方
ここからはミックスで初心者がイコライザーをいじって失敗する例を挙げていきます。
NG例①:イコライザーでボーカルをブーストして聴きやすくなったと思いきや・・・
教則本ではミックスするときに、ボーカルを聞こえやすくするには1KHzや2KHz、場合によっては500Hz前後をブーストすると良いってよく書いてあります。これは確かに間違いではないのですが、本質を理解していないと大変なことになってしまいます。
例を聞いていただきます。以下の動画を再生してみてください。
上記は初心者がかなりやりがちなNG例です。
最初はEQでブーストしたから聞こえやすくなって!あーよかった!と安心していたんですが、
実はボリュームを上げるだけで解決する問題だった!っていうことなんですよ。
むしろ、帯域にピークを増やしただけで、楽曲全体で聴くと同じ帯域がモコモコしたりとか、音割れしたりとかってバランスが崩れるんですよ。
これが危ないんですよ。解説本とか結構ここを上げると良いとかって書いてあるんですけど、鵜呑みにするのは本当に危ないです。
NG例②ミックスをするときにトラックにとりあえずイコライザーをかける
一番やっちゃいけないのがトラックを聞いた時にとりあえずイコライジングすることです。
これ結構やりがちというか昔の僕がやってたんですけど、教則本とかに書いてあることを鵜呑みにして、EQをいじってたんですね。でもこれはね結構危なくって、トラックを聞いた時に別に何も思わないのにEQ挿してたんですよ。
EQってさっきも言った通り音の補正するために使うエフェクトなので、補正したいと思わない。もしくはどうすればいいかわからないという場合は、一切かける必要がないんですね。
あと、いろんな解説とかで、ボーカルをはっきり聞こえさせるには、この帯域をブーストして、ここをカットさせるといいですよ。っていうものあるじゃないですか。
あれはね、間違っているとは言えないんですが、あれをそのまま自分の曲に反映させてしまうのは、本質を理解していないと思います。
ミックスにおけるイコライザーの本質が理解できているかチェックしましょう
問題です。以下の動画で、とある2つのボーカル音源が流れます。どちらが適切なEQ処理だと思いますか?
動画でも解説しているとおり、「A」もしくは「B」です!と答えてしまう場合は、あまり本質を理解できていません。
EQっていうのは補正をするもので、狙った音にできているのであればそれでOKなんですよ。
どっちが良いとか悪いとかっていう話ではないんですよね。ちょっと問題がイジワルなんですけど、でも要するにミキシングはトラック単体で考えるのではなく、楽曲全体で聞いたときにどうかっていうことなんです。
ミックスでイコライザーをかけるときは楽曲全体のバランスを考えるのが大切
音楽っていうのはいろんな楽器が入っていますよね。だからいろんな楽器の帯域とのバランスを考えてあげないといけないんですよ。
ゆえに、Aって一見低域がすごく強く聞こえるんですけど、楽曲全体で聞いたときは、ちゃんとバランスが取れているなんてこともあるんですね。
そして音が大きいとか、低いとかっていうのはあくまで相対的な感じ方でしかないので、実は正解!っていうものがないんですよね。
この本質を見誤ると、絶対にうまくいかないです。ミキシングは木を見るのも大事ですが、最終的には森をよく見るのが大事です。
イコライザーでカットをするときも本質は同じ
なおカットするときも考え方は同じで、カットしたからうまくいったと思いきや、ボリュームを下げるだけでよかったなんていうときもあります。
帯域をカットするということは、ここのボリュームを下げているんですね。
一見イコライザーでカットをしたから聞こえやすくなったように感じてもトラックボリュームを下げるだけでもOKだったということもあるのです。
カットするということは、そこの帯域のボリュームを下げること、強いては倍音までカットすることになります。
だから、闇雲にカットすることを最初の手段とするのはちょっと待った方がいい場合もあるんですね。
これはカットした方がいいのか、それともボリューム調整やパン調整でどうにかなるのかと、楽曲全体のバランスを考えた方がいいです。
初心者におすすめ具体的な実践的な使い方
じゃあここまでを踏まえて、具体的に初心者は何をすれば良いんだってことになると思うんですけど。
①一番おすすめなのはピークを削るという使い方がおすすめです。
②明らかに不要な部分を削るっていうのもありですね。
深掘りしていきますね。
おすすめのイコライザー設定①:一番おすすめなのはピークを削るという使い方がおすすめです。
「明らかにここモコモコしてるよな」あるいは「キンキンしてるよな」っていう場合は、ピークをカットしましょう。
初めにピークを削っておくと、後々音が飽和したり、音割れしたりするのを防ぐことが多いです。
おすすめのイコライザー設定②:明らかに不要な部分を削る
人間の耳って聞こえる周波数っていうのが限られているんですね。
だから、明らかに不要な部分とかはカットする人もいます。カットしたところで自分の耳には聞こえないので、ほとんど変化がないように思えますが、まあ無駄な部分はカットしておいたほうが、バランスがよくなることの方が多いです。
初心者にもおすすめのイコライザー
最後にプロである僕が初心者でも使いやすいイコライザーを紹介させていただきます。
結論iZotope社のイコライザーがおすすめです。
理由はシンプルに使いやすいからです。音の変化を目視しやすく、かつ操作がカンタンです。
またAI機能もあるので、困った時はおまかせでミキシングをしてくれます。
ぜひ試しみてください。
AIミキシングについては以下の記事でも解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
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