
本格的にMIX・マスタリングを勉強したい方向けの教則本 この記事の内容も含め応用できる技術も学べるのでおすすめです。
目次
ボーカルミックス:ボーカルがこもるときのエフェクト処理とコツ
原因と解決策
まずは原因を探ることから大切です。闇雲に色々いじっていては中々解決できません。
ミックスで躓いたときは必ず原因を探る→それに合わせた対処をする。ということを意識しましょう。よくある原因をピックアップしてみました。順に解説をしていきます。
よくある原因とチェック項目
- そもそもの音が悪くないか。
- 他の音域と被っていないかチェックする。
- EQ処理は適切か。
- コンプレッサー処理は適切か。
- 他のエフェクト処理が原因かも・・・?
そもそもの音が悪くないか
まずはそもそもの音が悪くないかどうかチェックしてみましょう。
ミックスは元々の音源より良い質にすることは困難を極めます。というかほぼ不可能です。
録音されたボーカルに変なこもりグセがついていた場合は、できるだけ録りなおしをしましょう。
他の音域と被っていないかチェックする
ボーカルがこもってしまう原因の多くは、他の楽器と音域が被ってしまっていることが多いです。
ボーカルを聞こえやすくするには800Hz~8kHzあたりを意識すると良いです。
具体的には
- 他の楽器の800Hz~8kHzあたりをカットしてボーカルのスペースを確保する。
- この帯域のボーカルを持ち上げる(インプットレベルがピークしないように注意する)
2番目のボーカルを持ち上げるのは極力控えたほうが無難です。なるべくEQはブーストよりもカットするということを意識しましょう。→気が付かないうちに色んなトラックでブーストをかけてしまい音域がゴチャゴチャになったり耳が痛いミックスになったりすることを防ぐためです。
EQ処理は適切か
先ほどの音域被りとも関連しているのがEQ処理です。まずは以下のことをチェックしてみましょう。
- 他の音域と被っていないか。
- 低音域が膨らんでいないか。
- 中音域をカットしていないか。
・他の音域と被っていないか
これは先ほど説明しましたので割愛します。
・低音域が膨らんでいないか
ボーカルの低音域が膨らみすぎていると、こもってしまいがちです。
その場合はEQでその帯域をカットすることで解決することがあります。
具体的な方法
- 100Hz~800Hzあたりを中心にこもっている箇所を探してカット。
- ピークをピンポイントでカットする。
ピークをピンポイントでカットする方法は以下記事にまとめていますのでご参照ください。
・中音域をカットしていないか
ボーカルの中音域をカットしていると音がこもる場合が多いです。
800Hz~8kHzあたりをカットしていないかチェックしてみましょう。
コンプレッサー処理は適切か
EQの設定を見直せたら次にコンプレッサーの設定を見直していきます。
ボーカルがこもってしまう原因の一つとして、コンプで圧縮しすぎていることがあります。
圧縮しすぎているときに見直す箇所は以下の通りです。
- スレッショルドを下げすぎている。
- レシオの値が大きい。
また加えてアタックとリリースについても以下のことをチェックしておきましょう。
- アタックが早すぎて波形の頭がつぶれていないか。
- リリースが遅すぎてノッペリとしたサウンドになっていないか。
ボーカルに最適なコンプレッサーの設定などの詳しい解説が欲しいという向けに以下記事にまとめております。
その他のエフェクト
「EQもコンプも問題なかったよ・・・。」
という方は他のエフェクト原因かもしれません。以下のことをチェックしてみてください。
- デュエッサーで頻繁・極端に中音域~高音域がカットされている。
- 空間系エフェクトが影響で埋もれている。
⇒リバーブ、ディレイ(プラグインの設定とセンドの帯域もチェックしてみましょう)。
ボーカルミックス:ボーカルが浮くときのエフェクト処理とコツ
原因と解決策
こちらもまずは原因を突き止めて適切な対処をしましょう。
よくある原因とチェック項目
- ピッチ・音程がズレている。
- ボリュームのバランスがおかしい。
- EQ処理は適切か。
- コンプレッサー処理は適切か。
- 空間系エフェクトの処理。
音程・ピッチがズレている
これは本当にとてもよくあります。
曲にはスケール(音階)というものがあります。分かりやすくいうと「ドレミファソラシド」のことです。(Cメジャースケール)
Cメジャースケールの曲の場合、基本的には「ドレミファソラシド」以外の音を使うと「音痴」に聞こえます。音痴というのは言い換えれば「不協和音の音」ということになりますので、そこだけ「なんか変だな」と目立ってしまいます。これが「ボーカルが浮く原因」です。
つまり、音程がズレているとめちゃくちゃ浮いて聞こえるということです。
これって本当によくあることなのでいま一度正しい音程で歌えているかどうかをチェックしてみましょう。
音程やピッチがズレている場合は、録りなおすか、ピッチ補正をしましょう。(ピッチ補正は不自然に聞こえてしまう原因にもなりかねないので、できるだけ録りなおすようにしましょう。)
ボリュームバランスをチェックしよう
次によくあるのがボーカルのボリュームが大きいということです。
本当に純粋にこれだけが原因だったりすることもあります。いま一度見直してみましょう。
ボリュームバランスをチェックするときはイヤホン・ヘッドホン・スピーカーそれぞれで聴き比べることを強くおすすめします。なぜなら一つのモニターでボリュームを決めると他のモニターで聴いたときにかなり違って聞こえることがあるためです。
もっと言うなら、各モニター2つずつくらい用意して聴き比べると尚良いでしょう。
例:スピーカーAで聴いたときは問題なかったが、スピーカーBで聴いてみたらボーカルが前に出すぎているように聞こえた、等
EQ処理は適切か
EQ処理が原因で浮いてしまっていることもあります。以下のことをチェックしましょう。
- 他の音域と被っていないか。
- 極端にカット・ブーストしすぎている
- 不要な音域のカットができていない
- ピークが削れていない
ボーカルのEQ処理の方法については以下記事にまとめておりますので、ぜひご参照ください!
コンプレッサー処理は適切か
コンプの影響によるこもる・浮くの原因はだいたい同じだったりします。
なぜなら、こもっている⇒だから浮いて聞こえるということにつながるからです。
コンプが原因でこもる場合は、圧縮しすぎているでしたよね。浮いたときはこれに加えて以下項目をチェックしましょう。
- 圧縮しすぎていないか(こもっているから浮いて聞こえる)
- ダイナミックレンジが整っていない。
- アタックが遅すぎて不自然に聞こえる。
- リリースが早すぎて不自然に聞こえる。
コンプレッサーの具体的な使い方は以下記事にまとめていますのでぜひご参照ください!
その他のエフェクト
以上を全て見直してもまだ浮いて聞こえるという場合は別に原因があります。エフェクト処理も含め以下のことをチェックしてみてください。
- ホワイトノイズが入っている。
- リップノイズ・タッチノイズが入っている。
- 声質が曲とマッチしていない。
- 空間系エフェクトが強く効きすぎている。
⇒リバーブ、ディレイ等
ちなみにMIXを本格的に学びたいのであれば教本を使うのもアリです。
この記事に書いてあることも含め応用的な知識や技術も身に付くのでおすすめです。
どうしても解決できない場合は?
どんな手を使っても解決できなかった場合は、もうAIに任せることおすすめします。
iZotope社のプラグインは自動的にエフェクト処理をしてくれるので便利です。
詳しくは以下の記事ですべてまとめていますのでぜひ参考にしてみてください。

161P

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